Column of Umima-ru official website

光を捕まえる箱

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青い海と空、白い雲と砂浜、風と波、太陽に向かって育つサンゴ、流れ星のようにきらめく小さな魚たち、茜雲にかかる虹、紫のグラデーションに瞬く星空・・・。写真集『ちゅら海からの風 Okinawa, where the sea meets the sky』は、すべて沖縄の海の写真で構成しています。
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海辺の風景とスノーケリング(素潜り)で見られるような浅く明るい水中風景を中心に、朝焼けから星空までを綴り、また、魚やウミガメなどの水中の生きものから、ヤドカリやアジサシなど海に関わる陸上の生きものまで、いろいろな角度から沖縄の海を表現しました。
私たちは、自然の海の大切さやすばらしさを伝えるため、ユニット「うみまーる」を結成し、写真や文章、映像で、作品発表をしています。沖縄を拠点に、北はカナダの流氷の上から、南は南アフリカのケープ半島まで、広い範囲で取材に出かけ、これまでは、生きものたちの豊かな表情と生きる姿を中心に描いた写真集を作ってきました。読者層としては、普段から海に親しんでいるダイバー、旅行で海や水族館へ行くような「海好き」「生きもの好き」の人、家族連れがほとんどです。
もっと一般の人達の「海への入口」になりたい。人それぞれが持つ自由な感性で、海を感じてほしい。そして、豊かな命を支えている海の本当の美しさを知ってほしい―。そんな思いを込めて、今回の写真集を作りました。
収録した写真は、ダイビングなど本格的な海の活動をしなくても、沖縄に旅行して、ちょっとその気になれば出会える可能性のあるものばかりです。海好き、沖縄好きの人はもちろん、特に海が好きというわけではないような人にも、「海もいいかも」と、きっと思ってもらえると思います。
この本を見て下さった方々が、やさしい気持ちになったり、海のことを考えたり、実際に海に行ってみたり、海を守りたいという気持ちから日々の暮らしを見直したり、そんなきっかけになるような写真集になってくれたらいいなと思っています。ご笑覧ください。また、ご友人や知人の方に、ご紹介いただけたら、うれしいです。

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「ちゅら」は、沖縄の言葉で「清らか」の意味です。
ただ見た目にきれいなだけでなく、内面性の美しさも表しています。
「海が健全で、本当の意味でいつまでも美しくあってほしい。」 
この写真集には、そんな願いが込められています。
また、読者が写真から自由にいろいろなことを感じ取れるように、あえて写真の下には文章をつけず、
キャプションは巻末にまとめて掲載しました。
心の動きや状態によって、見える風景も違ってくるように、
その人それぞれが持つ豊かな感性を呼び起こし、多面的に感じ取ってもらえればと思っています。
ページをめくり、心をひらけば、自然からのさまざまなメッセージを、風がささやいてくれる…。
優しく包み込む風、頬をくすぐる風、背中を押してくれる風・・、本を開くたびに、違う風を感じる。
そんな写真集になればと思い、タイトルをつけました。
サブタイトルには、テーマである「海と空の出会う場所」を意味する英文をつけました。
海と空の間を旅する水や命の循環。そして、この広い宇宙でただ1つ存在する生命の星「地球」。
その大切さやかけがえのなさも感じてもらえたらと思っています。

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沖縄県内の離島を旅しながら、撮影取材しました。車に機材を詰め込んで、フェリーで島から島へ渡ったり、自分たちの小さな船で無人島をめぐって、野宿したり。フルタイム自然の中で過ごしながら、手付かずの自然を探し、それぞれの島で、さまざまな感動のシーンに出会いました。
そんなありのままの自然のすばらしさや自然そのものの色の美しさを伝えたい。いくつかのこだわりを持って撮影しています。
・写真は、すべてポジフィルムを使用し、ストロボはほとんど使わず、自然光での撮影です。
・水中写真のほとんどは、タンクを背負わず、素潜りで撮影しています。
・水中では、素潜りであっても、どこにも手も足もつかずに、中性浮力を保ったままで撮影しています。

うみまーるの水中撮影スタイル
撮影では、海や海の生きものたちにダメージを与えることがないように、つねにローインパクト(環境にあたえるストレスを少なくすること)を心がけています。
海の中では、一見何もいないように見える岩の上にも、ホヤやコケムシといった小さな生きもの達がすんでいます。そのような生きもの達も傷つけることがないよう、どこにも触れずに中性浮力を保ったまま撮影する独自のスタイルを確立し、実行し続けています。
初めの頃は、体が安定しないため、うまく写真が撮れませんでしたが、今では、流れが強く、つかまらなければ流されてしまうような状況でない限り、中性浮力のまま撮影できるようになりました。この方法だと、生きもの達にそっと寄れるので、彼らは普段のままのリラックスした表情を見せてくれます。遠回りをしたけれども、今ではよかったと思っています。
最近、ダイバーの間でデジカメが人気で、多くの人がカメラを持って、海に入るようになりました。カメラを安定させるために、岩やサンゴにヒジやヒザをついて体を固定させている姿をよく見かけます。海の好きな人が増えて、かえって海が傷つけられることのないように、ローインパクトのことも伝えていきたいと思っています。実際、自分たちの住む座間味島の海では、たくさんのダイバーが潜ったために荒んでしまった海域を数年間の期限を設けて潜水禁止にし、自然の回復を待つ試みなども行われています。

.自然写真家ユニットうみまーる・・・
海を中心に自然のことを伝える写真家2人のユニット。沖縄・座間味島を拠点に世界中の海を旅しながら、生きものたちの豊かな表情やその生活ぶりを取材し、数々の共同作品を生み出している。代表作は「うみまーる~水の惑星の仲間たち~」。2009年春、座間味島に『プチギャラリーうみまーる』をオープン。http://www.umima-ru.com

*KINDON(井上慎也/海洋写真家) Photographer Shinya Inoue
1971年大阪生まれ。琉球大学理学部海洋学科卒。沖縄各地でつんだダイビングガイドの経験を生かし、サンゴや海底に触れず、中性浮力で撮影する独自のスタイルを築く。サンゴ白化の写真で、毎日新聞社『あなたのニュース写真'98』年間グランプリを受賞。フィルムにこだわり、生きものたちの表情を生き生きと捉えたやさしげな作風は、幅広い層の心を魅了している。耳は不自由だが、気にせずマイペースで生きる自称「ノーテンキ男」。全日本潜水連盟(JUDF)インストラクター。

.*あーすー(髙松明日香/写真家・ディレクター) Photographer & Director Asuka Takamatsu
1971年鹿児島生まれ。長崎大学教育学部理科卒業後、KBC九州朝日放送に勤務。記者やディレクターとして、自然番組の取材や制作に取り組む。短い文章で映像を生かす独特の作風で、自然のすばらしさや環境問題などを伝え続ける。諫早湾のドキュメンタリー番組で『地球環境映像祭・入賞』や『世界テレビ映像祭・審査員特別賞』などを受賞。NHKを経て独立し、うみまーる企画を設立。写真やビデオ撮影を本格的に始め、取材や文、構成、編集、デザインなど制作全般を手がけている。

うみまーる結成のきっかけ
井上は、小学生で原因不明の難聴になりました。周りの会話についていけない孤独感、将来のことや人間関係で悩んだ高校時代を経て、沖縄の大学に進学し、ダイビングに出会いました。水中では誰も会話ができないので、耳の不自由なことがハンディになりません。どんどん自分の殻を破っていけるようになり、ダイビングにのめりこんでいきました。いつもやさしく強く受けとめてくれる海、自分の心を明るくしてくれる生きもの達の姿。そんな海の世界に心癒され、水中写真家になる夢を持ったのです。卒業後は、島々を転々とダイビングガイドをしたりしながら、写真を撮り続けました。自分を元気にしてくれる海の表情を伝えたい。思わず微笑んでしまうような明るく優しい生きものたちの表情を中心に、写真を発表していきました。そして、水中写真を始めて10年間の集大成である写真集を出し、フリーの写真家として歩み始められるようになった頃、髙松と出会ったのです。
一方、髙松は、主にテレビの報道番組で、自然のことを伝えるディレクターでした。自然と人をテーマに、諫早湾や泡瀬干潟など環境問題に取り組み、自然の大切さを伝えたい一心で、無我夢中に走り続けてきました。いくつものドキュメンタリーを作り上げながらも、深く取材をすればするほど、人間同士のしがらみや政治的なものが絡み、心が痛く苦しい日々に埋もれていきました。そんな中、髙松の心を救っていたのは、厳しい自然の中で、しかも人間活動の影響を受けてギリギリの境地に至っていてもなお、今、この時を、のびのびと生きる生きものたちの喜びに満ちた姿でした。自分が伝えていくべきものは、この姿ではないか。もっと、本来やりたかった「ありのままの自然のすばらしさ」を伝えていきたい。そう初心に立ち返り、独立を考えていた頃、井上と出会いました。井上の写真は、涙が出るほど、純粋でした。しかし、ただ「美しい」とか「かわいい」とかだけでなく、もっと、その背景に存在する「生きる力」や「命のつながり」といったものを自分が引き出してプラスしていけば、もっと、本当の自然のすばらしさを広く伝えていけるのではないかと、髙松は確信し、誘ったのです。
 お互い、同じような自然観を持っていたので、すぐに意気投合しました。海から夢をもらった難聴の写真家は、自然の奥深さを伝える広い表現力を、深刻な環境問題に心病んだディレクターは、純粋に伝えて行くことへの勇気を得たのです。うみまーる結成後、本格的に水中写真を始めた髙松にとって、今回の写真集は、写真家としては初の写真集になる記念すべき1冊です。前回の写真集までは、写真は井上、構成や文アレンジなど制作は髙松というスタイルだったので、作品はすべて「井上慎也」の名前で出してきましたが、髙松の写真を発表し始めた4年前からは、作家名を「うみまーる」で発表してきています。

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ちゅら海からの風 Okinawa, where the sea meets the sky

ありのままの自然の中でも、ひときわ美しい時間があります。
沖縄の海と空、太陽と風、自然が織りなす時の流れ。そこではぐくまれる豊かな命。輝くようなその瞬間を綴りました。あなたにつながる空の向こうには、かならず海が広がっています。いつもあなたに、ちゅら海からの風が届きますように。

書 名 :ちゅら海からの風 Okinawa, where the sea meets the sky
著 者 :うみまーる‘井上慎也+髙松明日香’
発行日 :2010年3月16日
発行所 :求龍堂
判 型 :200×220mm・ソフトカバー・96頁オールカラー
価 格 :2,100円(税込)

「ちゅら」とは、沖縄の言葉で「清らか」の意味です。ただ見た目にきれいなだけでなく、内面性の美しさも表しています。「海が健全で、本当の意味でいつまでも美しくあってほしい」。そんな願いを込めて、タイトルをつけました。